「お世話になっております」と「お世話様です」の使い分け方や違いについて迷ったことがあるという方は少なくないのではないでしょうか。
特に「お世話になっております」は、営業職の方がだけでなく、顧客とのやり取りをする方であれば一日に何度も使う言葉ですよね。
また、「お世話様です」も同じように頻出の言葉ですね。なんとなく「お世話になっております」の返し言葉として「お世話様です」を使っている人も多いのではないでしょうか?
今回は、正しい「お世話になっております」と「お世話様です」の使い方や違いをご紹介します。
「お世話になっております」の正しい使い方とは
「お世話になっております」の使い方について考えたことがある人は意外に多いのではないでしょうか。
社会人として働き始めるとまず一番に教えられる言葉のひとつが「お世話になっております」だと思います。
また、実際にお世話になったことがない相手でも、「お世話になっております」と言うことに違和感がある方も多いと思います。
ここでは、ビジネスにおいて当たり前となっている「お世話になっております」の使い方やその意味を見ていきましょう。

「お世話になっております」の意味について
毎日頻発する「お世話になっております」の意味とはどういったものなのでしょうか?あまり意味など考えずに無意識に使ってしまっている方も少なくないのではないでしょうか?
「お世話になっております」の意味とは、文字通り相手に自分が「お世話になっている」ことを伝える言葉です。
ただ、もちろん「お世話になっている」ことを伝えるのが目的ではなく、日頃「お世話になっている」つまり、「良くしてもらっている」ことや「面倒をみてもらっている」ことに対して相手に“感謝”の気持ちを伝えるための言葉なのです。
ビジネスやプライベートでも“感謝”の気持ちを伝える言葉だと知ったうえで使うと、今までの「お世話になっております」よりも気持ちがこもってくるかもしれませんね。
「お世話になっております」を使う場面
「お世話になっております」の使い方について実際にどんな場面で使うのが正しいのでしょうか?
「お世話になっております」を使う場面は、ビジネスが最も有名ですが、実はプライベートでも多く使われています。
例えば、学校の参観日にお母さんが先生に対して、「いつも息子がお世話になっております。」と言っている言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?
他にも、「山田さんには日ごろお世話になっておりますので~~」というご近所のおばちゃんの立ち話を聞いたことがある方もいるのはないでしょうか。こういったように日常生活でもよく使われている言葉なんですね。
直接的な物言いをあまり良しとしない日本人ならではの“感謝”を伝える言葉として、普段の生活になじみついているようです。
もっとも、通常社外や家族でない相手に向けて使う言葉ですのでお気を付けくださいね。

初対面の相手に「お世話になっております」は正しい?
ところで、ビジネスの場ではもちろん使う「お世話になっております」ですが、上で述べたような“感謝”を伝える相手ではない、つまりまだ取引がなかったり、初めてお会いする相手に対しても「お世話になっております」と言う場面は多くあると思います。
とはいっても、初めての相手に対して、いきなり“感謝”を伝えるのは違和感がありますよね。
(会ったこともないし、一度もお世話になっておりませんけど…)と思いながら使っている方は案外多いものですよね。
そういった場合にはあえて「お世話」という言葉を使わずに「はじめまして!」と潔く言ってしまった方が印象が良いかもしれませんね。
ただ、世の中は広いので、もしかすると自分の知らないところで相手の商品を使っていたり、自分の仲の良い人が本当にお世話になっていたりするかもしれないので、そういった可能性も含めてとりあえずは「お世話になっております」と言う方が多いのかもしれませんね。
就活での「お世話になっております」は正しい使い方?
就活生でときどき「お世話になっております」を使っている方を見かけますが、就活での「お世話になっております」は正しい使い方なのでしょうか?
結論から言うと用法としては正しいということが出来ます。
ただし、学生の方が就活で「お世話になっております」を使うことはあまりおすすめではありません。
採用活動をしている企業は、学生に対してビジネスマナーがなっているかどうかよりも、気取っていないその人自身の特性を見たいと考えています。
「お世話になっております」を使うことによって、気取った印象を与えてしまってマイナスになることもあるので、相手によって使い分けることを意識しましょう。
学生の場合は、元気よく「こんにちは!よろしくお願い致します!」と言えた方が若々しく勢いのある人だと感じてもらえますよ!
「お世話になっております」の例文
それでは、「お世話になっております」の正しい使い方として、実際にどのように言えばよいのかシーンごとに例文を見ていきたいと思います。

ビジネスシーン(電話)での「お世話になっております」
相手が電話にでたら第一声で、、、
「いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の田中と申します。」
ビジネスシーン(メール)での「お世話になっております」
やり取り相手先に送る文章の冒頭で、、、
「株式会社△△商事
KINAKINA事業部ビジネス課 課長
KINA太郎様
平素より大変お世話になっております。
株式会社〇〇の田中でございます。
・
・
・ 」
ビジネスシーン(対面)での「お世話になっております」
先輩の取引先にご挨拶のため訪問し名刺交換のときに、、、
「いつも上席のKINA太太郎がお世話になっております。
私、株式会社〇〇の田中と申します。
どうぞよろしくお願い致します。」
日常会話シーンでの「お世話になっております」
自分の母親のママ友に駅前で出くわしたとき、、、
「こんにちわ!いつも母がお世話になっております!」
「お世話様です」の正しい使い方とは
「お世話様です」は、「お世話になっております」とともによく使われる言葉ですよね。
「お世話様です」の正しい使い方について知りたいと思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ単に「お世話になっております」と言われたから「お世話様です」と返事をしている方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、「お世話様です」の正しい使い方は、「お世話になっております」よりも気を付ける必要があります。
場合によっては相手にとても失礼な印象を与えてしまうことがあるからです!
ここでは「お世話様です」の正しい使い方についてみていきましょう。

「お世話様です」の意味について
「お世話様です」の意味について正しく理解しているという方はあまり多くないかもしれませんね。
「お世話になっております」と「お世話様です」はとても似た表現ですが、「お世話様です」の意味とは、“感謝”の念を伝えながらも、「ご苦労様です」を丁寧な言い方にしたものなのです。
「ご苦労様です」とは、何か相手がしたことに対してねぎらいの言葉をかけるときに使う言葉ですよね!
昔の主従関係におけるご主人様への「奉公」に対する丁寧なねぎらいの言葉が「お世話様です」とも言われているのです。(諸説あります)
つまり「お世話様です」とは、自分に対して「お世話」をしてくれた相手に対して“感謝”の気持ちを伝える言葉になるので、目上の相手や、お客様に対しては使ってはいけない言葉になるのです。例えば、取引先のお客様に「ご苦労様です」とはあまり言いませんよね。
「お世話様です」を使う場面とは
それでは、「お世話様です」を使う場面とはどういったときになるのでしょうか。
「お世話様です」を使う場面、というよりも使える場面は実はあまり多くありません。
なぜなら上でもご紹介しましたが、「お世話様です」には「ご苦労様です」の意味合いが含まれるからです。
例えば、上司が何か自分のためにしてくれたことに対して、「ご苦労様です」なんてとても言えませんよね。
一般的な「お世話様です」の使われ方としては、宅配便の方や、店員さんに向けて使われることが多いです。
彼らは、まさに自分のために重い荷物を運んできてくれたので、「ご苦労様です」の意味を含めて丁寧に「お世話様です」と言うのです。

ビジネスでの「お世話様です」は正しい使い方?
まれにビジネスの場面で、テレアポ営業でかかってくる電話や下請けの業者からの電話などに対して「お世話様です」と返している方を見かけますが、この「お世話様です」は正しい使い方なのでしょうか?完全に上下の関係がはっきりしていて、電話の相手を下に見ている場面ですね。
ビジネスでの「お世話様です」は、結論から言うと、用法としては問題ありません。実際に「お世話」をしてもらう相手ですので、関係性としては正しいということができます。
しかし、「お世話になっております」よりも言葉が短いためにそっけなく聞こえてしまったり、そもそも相手に対して「私はあなたを下に見ています」ということを相手に伝えてしまう表現になるため、あなたや会社の印象が悪くなってしまう可能性があります。
ですので、「お世話様です」は、あまりビジネスでおすすめできる言葉ではないといことができますね。
もし無意識に使っていたのなら意識して控えるようにした方がよいでしょう!
「お世話様です」の例文
それでは、「お世話様です」の正しい使い方として、実際にどのように言えばよいのかシーンごとに例文を見ていきたいと思います。

日常会話シーンでの「お世話様です」
自宅にいるときに宅配便のお兄さんがとても思い荷物を届けてくれた時に、、、
「荷物こちらに置かせてもらいますねー!」
「どうも重たいのにありがとうございます。お世話様ですー!」
ビジネスシーン(電話)での「お世話様です」
デスクで電話をとったら、テレアポ営業の電話だったときに、、、
「いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇のKINA太郎と申します。
本日は、弊社の新製品のご提案でご連絡させていただきました。」
「お世話様です。私、田中と申します。ただいま担当部署に確認致しますので少々お待ちください。」
※先述の通りこの使い方はオススメではありません。
「お世話になっております」と「お世話様です」の正しい使い方と違い

今回は「お世話になっております」と「お世話様です」の正しい使い方と違いについてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
「お世話になっております」と「お世話様です」の使い分けや違いは、理解できているようで曖昧な方も多かったはずです。
「お世話になっております」にも「お世話様です」にも正しい使い方があるので、この記事を参考してきちんと使える大人になってみるのはいかがでしょうか。